ヒトパピローマウィルス(HPV)ワクチン

こんにちは!サブです。今の所、毎日投稿できているのですが、それだけでも大変で、疾患や薬剤のまとめページを作るのはいつになるのか。。遠い目になってしまいますね。

リウマチ、膠原病疾患は女性に多い病気ですので、私は子宮頸がんや尖圭コンジローマの患者さんもこれまで多く経験しています。その原因となるヒトパピローマウィルス(HPV)は私たちにとても身近なウィルスのため知っておく必要があります。厚生労働省のホームページにとてもわかりやすい説明があったので、ぜひ一度みてみると良いと思います。以下に記載したのはほとんどそのホームページから抜粋したものです。米国リウマチ学会などのガイドラインの情報も一部加えて記載しています。

HPVは性経験がある女性のうち50%以上が生涯で1度は感染するとされる一般的なウィルスです。

子宮頸がんをはじめ、肛門がん、膣がんなどのがんや、尖圭コンジローマなど、多くの病気の発生に関わっているとされています。

日本ではHPV感染症を防ぐワクチン(HPVワクチン)は小学6年〜高校1年相当の女子を対象に、定期接種が行われています。

米国のACIP(Advisory Committee on Immunization Practices)では11-26歳の方にHPVワクチンを推奨しています。また、26-45歳でHPVワクチンを受けたことがない人に関しては医師と話しあったうえで接種を検討することとされていますが、45歳以上では過去にHPVに罹患している可能性が高いため、ワクチンの効果は期待できないとされています。

免疫を抑制する治療を行っている方は子宮頸部異形成や子宮頸がんのリスクがあがるとされています。米国リウマチ学会のガイドラインではこれまでにHPVワクチンを接種したことない、免疫を抑制する治療を行っている26-45歳のリウマチ性疾患、膠原病患者さんでは状況に応じてHPVワクチンを接種することが推奨されています。

HPVの中には子宮頸がんを起こしやすい種類(型)のものがあり、HPVワクチンはこのうち一部の感染を防ぐことが期待できます。

現在日本国内では2価HPVワクチン(サーバリックス®)、4価HPVワクチン(ガーダシル®)、9価HPVワクチン(シルガード®9)の3種類があります。

2価HPVワクチン(サーバリックス®):HPV16/18型の感染とそれによる子宮頸部異形成を予防する効果が示されています。

4価HPVワクチン(ガーダシル®):HPV16/18型の感染とそれによる子宮頸部異形成を予防するとともに、HPV6/11型の感染とそれによる尖圭コンジローマも予防することが示されています。

9価HPVワクチン(シルガード®9):HPV16/18/31/33/45/52/58型の感染とそれによる子宮頸部異形成を予防するとともに、HPV6/11型の感染とそれによる尖圭コンジローマも予防することが示されています。

シルガード®9は子宮頸がんをおこしやすい種類であるHPV16型とHPV18型の感染を防ぐことに加えて31型、33型、45型、52型、58型の感染を防ぎ、子宮頸がんの原因の81.0-90.7%を防ぐとされています。

標準的なワクチン接種スケジュール

シルガード®9

・1回目の接種を15歳になるまでに受ける場合(合計2回)

1回目と2回目の接種は少なくとも5カ月以上あけます。5カ月未満である場合、3回目の接種が必要となります。

・1回目の接種を15歳になってから受ける場合(合計3回)

2回目と3回目の接種がそれぞれ1回目の2カ月後と6カ月後に接種できない場合、2回目は1回目から1カ月以上、3回目は2回目から3カ月以上あけます。

HPVワクチン接種により自然感染で獲得する数倍量の抗体を、少なくとも12年維持することが海外の臨床試験により明らかになっています。

HPVワクチン接種で予防できない型のHPVによる子宮頸がんも一部存在するため、HPVワクチンの接種歴にかかわらず、子宮頸がん検診を定期的に受けるようにしてください!

(参考)

ヒトパピローマウイルス感染症~子宮頸がん(子宮けいがん)とHPVワクチン~

2022 American College of Rheumatology Guideline for Vaccinations in Patients With Rheumatic and Musculoskeletal Diseases. Arthritis Care Res (Hoboken). 2023 Mar;75(3):449-464.


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